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予備的な慰謝料の反訴と財産分与の申立
夫は妻に対して、離婚請求訴訟を提起した。
一審は、婚姻の破綻を理由に夫の請求を認容した。
妻は、控訴し、離婚請求が認容されることを条件として予備的に、慰謝料1500万円の支払を求める反訴の提起と1500万円の財産分与を求める申立てをしたが、夫はこれらに同意しなかった。
控訴審は、妻の控訴を棄却し、妻の予備的反訴提起及び財産分与申立てについては夫の同意がないため不適法であるとして却下した。
妻は、上告及び上告受理の申立てをした。
@上告は事実誤認又は単なる法令違反をいうものとして棄却され、上告受理申立ての理由中、下記の理由部分が認められ、控訴審判決全部が破棄され、高裁に差し戻された。
A離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯して財産分与の申し立てについては、人事訴訟手続法8条(現人事訴訟法18条)の規定の趣旨より、控訴審においても、その提起及び申立てについて相手方の同意を要しないものと解すべきである。
人事訴訟法32条1項は、家庭裁判所が審判を行なうべき事項とされている財産分与の申立てにつき、手続の経済と当事者の便宜とを考慮して、訴訟事件である離婚の訴えに附帯して申し立てることを認め、両者を同一の訴訟手続内で審理判断し、同時に解決することができるようにしたものである。
したがって、原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し、又は取消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときには、離婚請求を認容した原審の判断に違法がない場合であっても、財産分与の申立てに係る部分のみならず、離婚請求に係る部分をも破棄し、又は取消して、共に原審を差し戻すこととするのが相当であるとした。
(訴えの変更及び反訴)
人事訴訟法第18条 人事訴訟に関する手続においては、民事訴訟法第百四十三条第一項 及び第四項 、第百四十六条第一項並びに第三百条の規定にかかわらず、第一審又は控訴審の口頭弁論の終結に至るまで、原告は、請求又は請求の原因を変更することができ、被告は、反訴を提起することができる。
(附帯処分についての裁判等)
人事訴訟法第32条 裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分又は標準報酬等の按分割合に関する処分(厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項 、国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号)第九十三条の五第二項 (私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)第二十五条 において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)第百五条第二項 の規定による処分をいう。)(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2 前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
3 前項の規定は、裁判所が婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において親権者の指定についての裁判をする場合について準用する。
4 裁判所は、第一項の子の監護者の指定その他子の監護に関する処分についての裁判又は前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子が十五歳以上であるときは、その子の陳述を聴かなければならない。
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