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有責配偶者の婚姻費用分担請求
夫は、課長に昇進したが、そのころから深酒して深夜に帰宅することが多くなり、これを非難した妻と口論になり、妻は、生後間もない二女だけを連れて実家に帰った。
妻は二女と帰宅し、共同生活が再開された。
うつ病と診断されていた夫は、意思から入院治療をすすめられたがこれを拒絶した。
妻は、同月に2人の子供を連れて実家に帰り、その後入院した夫の面会にも行かなかった。
夫は、その後妻に同居を求めたが、妻はこれに応ぜず、互いに音信がない状態が続いた。
夫は他の女性とお見合いをして、女性と同棲を始めた。
夫は、離婚調停をなし、不調となったので、離婚訴訟を提起した。
妻は、夫に対して、本件婚姻費用分担の申立てをした。
@原審判は、夫に対して、婚姻費用の支払を命じた。
A抗告審は、以下のように述べて、原審判の一部を取消し、2人のこどもの監護費用として、月4万円の婚姻費用の支払を命じた。
民法760条、752条に照らせば、婚姻が事実上破綻して別居生活に入ったとしても、離婚しない限りは夫婦は互いに婚姻費用分担の義務があるというべきであるが、夫婦の一方が他方の意思に反して別居を強行し、その後同居に要請にも全く耳をかさず、かつみずから同居生活回復のための真摯な努力を全く行なわず、そのために別居生活が継続し、しかも右別居を止むを得ないとするような事情が認められない場合には、前記各法条の趣旨に照らしても、少なくとも自分自身の生活費にあたる分についての婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されず、ただ、同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求し得るにとどまるというべきである。
そして、右認定事実によれば、妻は夫の意思に反して別居を強行し、その後の夫の再三の話し合いの要請にも全く応ぜず、かつみずからは全く同居生活回復の努力をせず、しかも右別居について止むを得ない事情があるとも到底言い難い状態で10年以上経過してから本件婚姻費用分担の申立てにしたものと評価すべきであるから、自己の生活費を婚姻費用の分担として夫に請求するのは、まさに権利の濫用であって許されず、ただ妻と同居する長女、二女の実質的監護費用だけを婚姻費用の分担として夫に請求しうるにとどまるというべきである。
(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
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