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離婚判決後の親権者変更
妻と夫は、婚姻し、長男、長女、二男が生まれた。
妻は、婚姻後、大学院に進学し、家事の相当部分を夫がするようになり、夫は、職を転々とした。
その結果、妻と夫は、口論、喧嘩が絶えなくなり、一時別居が繰り返され、夫妻双方から夫婦関係調整調停、審判等の申立が何度もされた。
妻は、3人の子を連れて京都市内の家を出て、倉敷市の実家に戻り、長男と長女を同市内の小学校に転校させた。
その後、3人の子の連れ去りと連れ戻しが繰り返された。
妻は、離婚等を求める訴訟を提起し、離婚、長男、二男の親権者を妻とし、長女の親権者を夫と定める判決が下され、同判決は、確定した。
離婚判決後も、夫妻間で二男の連れ去り、連れ戻しが繰り返された。
妻は、長女の親権者変更等の審判申立をなし、夫は、二男の親権者変更の審判申立をなした。
裁判所は、以下のように述べて、妻の長女の親権者を夫から妻に変更することを求める申立を却下し、二男の親権者の妻から夫への変更を認めた。
上記離婚判決及び控訴審判判決に判示された長女の親権者を夫と定めた理由や、上記認定のとおり、長女が、平成5年23日以来、現在に至るまで夫宅での生活を続け、成績優秀で奨学金などを受けて府立高校に進学し、現在充実した高校生活を送っていること、長女は、夫との父子関係も良好で、夫の上記認定の稼働能力の低さにもかかわらず、自ら奨学金やアルバイトなどでこれを補い、むしろ夫を支えつつ、夫を親権者として今後も生活していくことを望んでいること、他方で、上記認定のように、長女と妻との母子関係は良好なものではなく、また、妻の家事能力や稼働能力も夫に比してさほど高いわけでもなく、今この時点で高校を転校してまで倉敷市で妻と同居生活をさせても、長女にとって益するところがあるとは認め難いことを考え合わせると、現時点において、長女の親権者を夫から妻に変更することが、長女の福祉に沿うものであるとは、到底認めることができない。
二男は平成8年8月8日以来、現在に至るまで夫宅での生活を続け、現在小学4年生であり、健康状態も良好で、素直で明るい性格に生育しており、学校生活上取り立てて問題とすべき点はないこと、二男は、夫との父子関係も良好で、今後も京都の夫宅で夫及び長女と一緒に生活していくことを望んでいること、夫には上記のような生活上の問題点が存するけれども、上記のとおり、従来、長女が夫に代わって二男の母親代わりの役割を果たしており、その長女との姉弟関係も良好であること、他方で、上記のように、二男と妻との母子関係は良好なものではなく、また、妻の家事能力や稼働能力も夫に比してさほど高いわけでもなく、今この時点で転校してまで倉敷市で妻との同居生活をさせても、二男にとって益するところがあるとは認めがたいことを考え合わせると、現時点において、二男の妻への引渡しを命ずることが二男の福祉に沿うものであるとは到底いえず、逆に、二男の親権者を妻から夫に変更することが、二男の福祉に沿うものであるというべきである。
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