日本居住のドイツ人夫のドイツ居住ドイツ人妻へ離婚等請求
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日本居住のドイツ人夫のドイツ居住ドイツ人妻へ離婚等請求
夫と妻は、ドイツ民主共和国において、同国の方式により婚姻し、長女が生まれた。
夫ら一家は、ドイツ連邦共和国ベルリン市に居住していたが、妻は、夫との同居を拒否した。
夫は、旅行の名目で長女を連れて来日した後、妻に対してドイツ連邦共和国に戻る意思のないことを告げ、以後長女と共に日本に居住している。
妻は、自己の所在地を管轄するベルリン市シャルロッテンブルグ家庭裁判所に離婚訴訟を提起した。
この訴訟の訴状等の夫に対する送達は、公示送達によって行なわれ、離婚を認容し、長女の親権者を妻と定める判決が確定した。
夫は、妻に対して離婚、長女の親権者を夫と定めること、300万円の慰謝料の支払を求める本件訴訟を、浦和地裁越谷支部に提起した。
@一審は、以下のように述べて、夫の請求を却下した。
一般に被告の住所が国際的裁判管轄権を決定する場合の基準の一つになることはいうまでもないが、それだからといってあらゆる訴訟についてそれが原則的に妥当するといったものではなく、離婚訴訟においては、離婚原因となる事実の有無が審理の中心となるが、離婚を認容するか否かの最終的な判断は、多くの場合婚姻共同生活の実態の解明なしにはよくなし得ないところであるから、その審理は、右婚姻共同生活が営まれた地を管轄する国の裁判所で行なわれることが望ましく、その国に、原被告双方共に住所を有しないような場合ならともかく、原被告のどちらかが住所を有する場合には、その国の裁判所が国際的裁判管轄権をもち、その他の国の裁判所はこれを持たないものと解するのが相当である、
A控訴審は、以下のように述べて、原判決を取消し、浦和地裁に差し戻した。
離婚訴訟の国際的裁判管轄権については、夫婦の一方が国籍を有する国の裁判所は、少なくとも、国籍を有する夫婦の一方が現に国籍国に居住し、裁判を求めているときは、離婚訴訟について国際的裁判管轄権を有すると解するのが相当である。
婚姻生活の実態について審理する必要があることから、実際に婚姻生活が行なわれた国又は夫婦が共に居住する国の裁判所は、夫婦のどちらかがその国籍を有するかどうかにかかわりなく、国際的裁判管轄権を有すると解すべきであることは当裁判所も否定するものではないが、このことが、夫婦の一方の国籍国の裁判所の管轄権を否定する理由になるとは考えられない。
B上告審も、以下のように述べて、上告を棄却した。
離婚請求訴訟においても被告の住所は国際裁判管轄の有無を決定するするに当たって考慮すべき重要な要素であり、被告がわが国に住所を有する場合にわが国の管轄が認められることは、当然というべきである。
しかし、被告がわが国に住所を有しない場合であっても、原告の住所その他の要素から離婚請求とわが国との関連性が認められ、わが国の管轄を肯定すべき場合のあることは、否定し得ないところであり、どのような場合にわが国の管轄を肯定すべきかについては、国際裁判管轄に関する法律の定めがなく、国際的慣習法の成熟も十分とは言い難いため、当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定されることによる被告の不利益に配慮すべきことはもちろんであるが、他方、原告が被告の住所地国に離婚請求訴訟を提起することにつき法律上又は事実上の障害があるかどうか及びその程度をも考慮し、離婚を求める原告の権利の保護に欠けることのないよう留意しなければならない。
これを本件についてみると、前記事実関係によれば、ドイツ連邦共和国においては、判決の確定により離婚の効力が生じ、夫と妻との婚姻は既に終了したとされているが、わが国おいては、右判決は民訴法200条2号の要件を欠くためその効力を認めることができず、婚姻はいまだ終了していないといわざるを得ない。
このような状況の下では、仮に夫がドイツ連邦共和国に離婚請求訴訟を提起しても、既に婚姻が終了していることを理由として訴えが不適法とされる可能性が高く、夫にとっては、わが国の離婚請求訴訟を提起する以外に方法はないと考えられるのであり、右の事情を考慮すると、本件離婚請求訴訟につきわが国の国際裁判管轄を肯定することは条理にかなうというべきである。
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