配偶者の宗教活動による離婚請求




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配偶者の宗教活動による離婚請求

離婚の事案

妻は、ある宗教団体の伝道師の話を聞くようになり、そのうち月に1度その集会にも参加するようになった。

宗教団体を信仰しているから先祖崇拝はしないと妻が言うのを聞いて、夫と夫の母は、これでは夫の先祖の位牌や墓を守ってもらうことができず、妻は、夫の妻として相応しくないと考え、妻との間で深刻な対立状態となった。

夫の母は、妻が信仰を止めないことから、夫方に置いておくことはできないと言い、妻はやむなく実家に帰り、以後夫や2人の子供とは別居することとなった。

夫と妻は、別居後2、3年の間は訪問したり、手紙を出したりしていたが、妻は、別居後ますます熱心に宗教団体を信仰するようになり、洗礼を受け、週3回の集会に参加し、妻の父の葬儀の夫の母の葬儀にも焼香はしなかった。

夫は、妻に対して、妻の信仰により婚姻関係は破綻しているとして、本件離婚請求訴訟を提起した



離婚の判例

@一審は、以下のように述べて、夫の離婚請求を棄却した

妻が宗教団体を信仰するようになり、それが原因で夫婦間に亀裂が生じたことは明らかである、

しかし、妻は夫と同居中は1週間に約1時間の聖書の勉強会に出席した程度で、その宗教活動のために日常の家事や子供の養育を特に疎かにしたということはなく、また、仏壇に花を供えなかったり、初詣や墓参りに行かないことはあったが、夫や夫の母がこれらのことをするのを非難したり、妨害することはなく、妻としては、日常の家事や子供の養育には支障がないように相応の配慮をしていたものである。

そうとすれば、夫の方でも妻の信仰の自由を尊重する寛容さをもつべきで、宗教団体の信仰自体を全く許そうとしなかった夫には、その寛容さが著しく欠けていたといわなければならない。

夫と妻とは、すでに7年間以上別居状態が続いているが、別居後2、3年の間は双方が婚姻の継続を希望して交渉が続いていたこと、妻は、夫と再び実態のある婚姻生活をすることを強く願い、子供2人とも連絡を取り合っていることからすると、夫がこれまでの態度を改め、はじめから妻の信仰を禁圧するのではなく、その事由を尊重することを前提として、夫及び夫の母と妻の融和を図る積極的努力をし、妻も、婚姻生活の中でその宗教上の信条を余りにもかたくなに押し通すことなく、状況によってはこれを自制する弾力的な態度をとれば、実体のある婚姻関係を修復する余地があるものというべきである。

夫、妻間には、婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとはいえない

A控訴審は、以下のように述べて、原判決を取消し、夫の離婚請求を認容した

妻には自己の宗教活動を夫との関係を円満にするために自粛しようとの気持ちは全くないこと、仮に夫と妻とが同居を再開したとしても、妻が現に行なっている宗教活動の状況からすれば日常の家事や子供の養育に相当の支障が出てくるのは必至であり、夫がこれを認容することは全く期待できないこと、夫の妻に対する不信と憎悪の念が強く離婚の意思が固いこと、妻は離婚の意思がなく夫の言うことにも従いたいというが、別居期間はすでに8年に及んでおり、現実に夫婦関係が円満に回復するという見込みは全くないことが明らかであり、夫と妻との間の婚姻関係は既に完全に破綻しているものと認めるのが相当である。

ところで、信仰の自由は夫婦といえども互いに尊重しなければならないことはいうまでもないが、しかし、信仰の自由といっても、夫婦として共同生活を営む以上自ずから節度があるべきものであり、相手方の意見や立場を尊重して夫婦及び家族間の関係が円満に行くように努力し、生きすぎは慎むべきものである。

これを本件についてみるのに、前期認定事実によれば、妻の行動は、いささか限度を超えるところがあり夫婦間の協力扶助義務に反しているといわざるを得ない。

夫にも妻の信仰の自由を尊重する寛容さが足りない面がないとはいえないが、妻の行動と対比すれば、婚姻関係破綻につき夫を主たる有責配偶者であるとみることはできない

以上によれば、夫の本件離婚請求は、民法770条1項5号所定の事由に該当するので、これを認容すべきものであるとした。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。


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