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不貞の同棲の差止め請求
妻と夫は婚姻し、長女、長男が生まれた。
妻、夫、女性は、いずれも公立学校の教師である。
女性と夫は同じ小学校に勤務し、それから間もなく交際した。
妻、女性、夫で話し合いがされ、妻は女性が夫と今後交際しないように念書の差し入れを要求したが、女性はこれを断り、その後、夫は自宅を出て妻と別居した。
妻は、1200万円の慰謝料、女性は、妻と夫の婚姻が継続している間、夫と同棲又は会ってはならない、ことを求める本件訴訟を提起した。
裁判所は、女性に300万円の慰謝料の支払を命じ、同棲、面会の差止めについては、以下のように述べて棄却した。
妻は、女性が夫と会うことについて差止めも求めているが、女性が夫と会うこと自体が違法になるとは到底いえないから、少なくともこの部分については請求に理由がないことは明らかである。
同棲の差止めについて、差止めは、相手方の行動の事前かつ直接の禁止という強力な効果をもたらすものであるから、これが認められるについては、事後の金銭賠償によっては妻の保護として十分ではなく事前の直接抑制が必要といえるだけの特別な事情のあることが必要である。
そこで、本件におけるそのような事情の有無についてみると、妻と夫は婚姻関係こそ継続しているものの、平成10年5月頃から夫は家を出て妻と別居しており、妻に居所を連絡してもいない。
これに加えて、先に認定した経緯をも考慮すると、両者間の婚姻関係が平常のものに復するためには、相当の困難を伴う状態というほかない。
そして、妻もまた夫との離婚もやむなしと考えているものの、夫が女性と同棲したりすることはこれまでの経緯から見て許せないということから夫との離婚に応じてないのである。
そうすると、今後女性と夫が同棲することによって、妻と夫との平穏な婚姻生活が害されるといった直接的かつ具体的な損害が生じるということにはならない。
同棲によって侵害されるのはもっぱら妻の精神的な平穏というほかない。
このような精神的損害については、同棲が不法行為の要件を備える場合には損害賠償によっててん補されるべきものであり、これを超えて差止め請求まで認められるべき事情があるとまではいえない。
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