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夫婦個別管理財産の財産分与
妻と夫は、婚姻し、長女が生まれた。
妻は童話作家、夫は画家である。
妻と夫は、互いの人生観、価値観の相違等から不仲となって家庭内別居の状態が続き、妻が家を出て別居し、協議離婚した。
夫は、本件土地を購入し、その上に本件建物を建築した。
本件土地は夫の単独名義の登記であり、本件建物は妻が1000分の64、夫が1000分の936の持分割合による共有登記である。
なお、妻の所得の方が夫より多く、預貯金も妻の方が夫より多かった。
妻は、夫に対して、財産分与及び慰謝料として、本件土地及び本件建物の夫共有持分について、妻への所有権移転登記を求めた。
@裁判所は、夫に対して妻への約3010万円の支払を命じ、妻に対して本件建物についての1000分の64の共有部分の夫への財産分与を命じた。
A清算的財産分与の対象となる財産について、本件土地建物、双方の個人名義の預貯金、著作権が考えられるが、「妻と夫は、婚姻前からそれぞれが作家、画家として活動しており、婚姻後もそれぞれが各自の収入、預貯金を管理し、それぞれが必要なときに夫婦の生活費用を支出するという形態をとっていたことが認められ、一方が収入を管理するという形態、あるいは夫婦共通の財布というものがないので、婚姻中から、それぞれの名義の預貯金、著作物の著作権についてはそれぞれの名義人に帰属する旨の合意があったと解するのが相当であり、各個人名義の預貯金、著作権は清算的財産分与の対象とならない。」と述べた。
B本件土地建物の財産形成の寄与割合について「本件清算的財産分与の清算割合は、本来、夫婦は基本的理念として対等な関係であり、財産分与は婚姻生活中の夫婦の協力によって形成された実質上の共有財産の清算と解するのが相当であるから、原則的に平等であると解するべきである。
しかし、前記認定の妻と夫の婚姻生活の実態によれば、妻と夫は芸術家としてそれぞれの活動に従事するとともに、妻は家庭内別居の約9年間を除き約18年間専ら家事労働に従事してきたこと、及び、当事者双方の共同生活について費用の負担割合、収入等を総合考慮すると、前記の割合を修正し、妻の寄与割合を6、夫のそれを4とするのが相当である。
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