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面接交渉権の棄却と憲法13条
夫と妻は、長女の親権者を妻と定めて裁判上の和解により協議離婚をした。
その後、妻は他の男性と再婚し、長女は男性と養子縁組した。
夫は、少なくとも年2回長女と面接させることを求めて、本件審判申立をした。
@原審判は、面接交渉権も子の福祉に適合する場合のみ行使が許されるとした上、本件では、父と子が面接すると子の保護環境が再び落ち着かなくなる危険がある。
この危険をおかしてまで、面接を認めるには、父と子の基本的信頼関係と愛情の交流があって、面接による子の福祉の程度が大きい場合であるが、そのような父と子の結びつきが認められず、面接交渉をすることは子の福祉に適合しないとして、夫の申立を棄却した。
A抗告審も原審判を維持した。
B夫は、特別抗告して、親権者でない親がその子と面接する権利は、親子という身分関係から当然に認められる自然権であり、個人の尊厳を尊重する憲法13条の幸福追求権に含まれている。
憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
面接交渉権の制限は、面接交渉の時期・場所・立会人などの制約を加えることができるだけであると主張した。
特別抗告審も以下のように述べて、夫の抗告を却下した。
所論は、協議上の離婚をした際に長女の親権者とされなかった同女の父である夫に同女と面接交渉させることは、同女の福祉に適合しないとして面接交渉を認めなかった原決定は、憲法13条に違反すると主張するが、その実質は、家庭裁判所の審判事項とされている子の監護に関する処分について定める民法766条1項又は2項の解釈適用の誤りをいうものにすぎず、民訴法419条の2所定の場合に当たらないと認められるから、本件抗告を不適法として却下する。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3 前2項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
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