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中華民国国籍夫婦の財産分与
台湾・中華民国国籍の夫と妻は、婚姻した。
日本人であった妻は、中華民国国籍に帰化した。
夫と妻は、本件土地上にあった本件建物4に住むようになった。
その後本件建物4は滅失登記をしないまま解体して移築され、その跡に未登記の本件建物2が建てられ、そこに夫妻及び長女が住んだ。
夫と妻は、協議離婚した。
その際に、夫は、妻に対して、本件土地と本件建物2を財産分与することが合意され、本件土地については、財産分与を原因とする所有権移転登記手続がされた。
本件建物2については、未登記であったことから、登記上は本件建物4について財産分与を原因とする所有権移転登記手続がされた。
夫は、妻に対して、財産分与をしたことはない等と主張して、本件土地及び本件建物2外について所有権確認、本件土地について真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続等を求める本件訴訟を提起した。
@一審は、夫の請求を棄却した。
A控訴審も、以下のように夫の控訴を棄却し、一審判決を維持した。
夫は、夫と妻の離婚に関しては本国法である中華民国民法が適用され、同民法でも協議離婚が認められているが、本件の協議離婚においては同民法が要求する手続がされていないから、両者間に離婚は成立しておらず、したがって、財産分与もあり得ないと主張する。
しかし、離婚の方式については、婚姻のような特別な定めがないから、旧法例8条が適用されると解するのが相当である。
そうすると、本件の協議離婚は、同条2項により行為地法である日本法の手続によることができるところ、夫と妻の離婚届は適法に世田谷区長に受理されていることが認められるから、夫と妻の離婚は有効に成立したというべきである。
夫は、中華民国民法は財産分与を認めていないから、夫から妻への財産分与を全く認めないことは、わが国の公の秩序又は善良の風俗に反するものといわざるを得ないから、旧法例30条により、財産分与を認めない中華民国民法は適用されないと解すべきである。
そうすると、財産分与の成立及びその効力は、日本民法によることになるから、夫から妻に対する本件土地及び本件建物2の財産分与は有効である。
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