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交通事故の損害保険金の財産分与
妻と夫は、婚姻し、長男が生まれた。
夫は、前妻との間に生まれた長女の親権者となり、長女は、妻、夫と同居生活をしていた。
妻は、長女の養育を含め、家事育児をほとんど1人で行なっていた。
夫は、本件交通事故により受傷した。
本件事故後、夫に対して、保険会社から休業損害金として毎月52万円が支払われ、夫は、妻に対し、うち45万円を渡し、残り7万円を夫が取得していた。
夫、加害者、保険会社等との間で、夫が治療費休業補償等のほかに5200万円は、逸失利益約4674万円、未払い障害慰謝料約149万円、後遺障害慰謝料約460万円から和解に基づき多少減額したものである。
夫は、妻に対して離婚調停を申立て、離婚、長男の親権者を妻とする、夫は長男に対して月額4万円の養育費を支払うこと等を内容とする調停が成立した。
前記調停において財産分与については合意が成立しなかったので、妻は、本件財産分与の審判申立をし、上記和解金5200万円の2分の1の2600万円の支払いを求めた。
なお、妻の申立によっても財産分与の対象となる財産は上記和解金のみである。
@原審は、和解金のうち逸失利益額を財産分与の対象財産とし、その2分の1を妻に支払うように命じた。
A控訴審も以下のように述べて、上記和解金のうち、症状固定時から離婚の前日までの逸失利益額のみを財産分与の対象財産と判示した。
財産分与の対象財産は、婚姻中に夫婦の協力により維持又は取得した財産であるところ、上記保険金のうち、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料に対応する部分は、事故により受傷し、入通院治療を受け、後遺障害残存したことにより夫が被った精神的苦痛を慰謝するためのものであり、妻が上記取得に寄与したものではないから、夫の特有財産というべきである。
これに対し、逸失利益に対応する部分は、後遺障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり、上記稼動期間中、配偶者の寄与がある以上、財産分与の対象となると解するのが相当である。
本件においては、症状固定時から、離婚調停が成立した日の前日である平成15年9月18日までの284日間分につき財産分与の対象と認めるのが相当である。
以上を前提に、上記期間の逸失利益相当額を算定すると、次の計算式のとおり概ね307万1626円となる。
515600円×12×0.67×0.9523×284÷365=3071626円
妻は、家事育児全般に従事し、その結果、夫が事業に専念できたと認められるから、寄与割合は、概ね2分の1と認めるのが相当である。
以上によれば、夫の妻に対する財産分与額は、上記金額の概ね2分の1に当たる金額である154万円を定め、妻に同額を取得させるのが相当である。
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