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面接交渉での子の連れ去りの人身保護請求
妻と夫は、婚姻し、長男、長女が生まれた。
妻と夫は、婚姻後に夫宅で生活をしていたが、妻と夫の両親、姉との折り合いがよくなかったことから夫婦の仲も悪化し、妻は、2人の子を連れて夫宅を出て、婦人保護施設に入った。
妻は、離婚調停申立をなし、夫は、子らと面接交渉を求める調停申立をした。
調停期日に、児童相談所において夫と子らが面接交渉する旨の合意が成立したが、その日は長女が発熱したため、再度協議し、妻の代理人である弁護士の事務所で面接することを合意した。
夫は、その面接の際に、2人の子のうち、長男を連れ去った。
夫は、医師であり、夫らが所有するビルの1階で開業し、4階に居住してる。
長男は、夫及び同じビルに住む夫の両親、姉が監護養育に当たっており、監護養育状況は良好である。
妻は、人身保護法に基づき、長男の引渡を求めた。
@一審は、以下のように述べて、妻の請求を棄却した。
右事実関係の下において、夫が被拘束者を連れ去った行為の態様は悪質であるが、夫並びにその両親及び姉による被拘束者の監護養育状況は良好であり、妻が被拘束者の引渡しを受けた場合に同人の監護養育することを予定している寮は同人の監護養育にとって必ずしも良好な環境であるとはいえないことからすると、夫による被拘束者の監護が同人の幸福に反することが明白であるということはできず、夫による被拘束者の拘束が権限なしにされていることが顕著であるとは認められない。
A上告審は、以下のように述べて、原判決を破棄し、原審に差し戻した。
妻と夫は、本件調停の期日において、調停委員の関与に下に、現に妻が監護している2人の子を日時場所を限って夫と面接させることについて合意するに至ったものであり、夫は、右の合意によって2人の子と面接が実現したものであるにもかかわらず、その機会をとらえて、実力を行使して被拘束者を面接場所から夫宅へ連れ去ったのである。
夫の右行為は、調停手続の進行過程で当事者の協議により形成された合意を実力をもって一方的に破棄するものであって、調停手続を無視し、これに対する妻の信頼を踏みにじったものであるといわざるを得ない。
一方、本件において、妻が被拘束者を監護することが著しく不当であることをうかがわせる事情は認められない。
右の事情に鑑みると、本件においては、夫による被拘束者に対する拘束には法律上正当な手続によらない顕著な違法性があるというべきである。
被拘束者が、現在、良好な養育環境に下にあることは、右の判断を左右しない。
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