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離婚協議合意の多額の金銭支払請求
妻と夫は、婚姻届をした。
夫は、ある女性と親密な関係になり、妻に離婚を求めるようになった。
妻は、夫と離婚することは考えていなかったので、この要求を拒否した。
妻は、夫が女性と親密な関係にあることは知らなかったが、その後夫の離婚を求める意思が強固であり、夫が離婚に際して、マンションと預貯金を渡す等と申し出たため、離婚に応ずることにした。
夫は、妻に対して離婚に伴い、今後23年間にわたり、住宅ローンの金額として1ヶ月6万円、@毎月給料から右金額を控除した残額の半額、A毎年ボーナスから20万円を控除した残額を支払うこと、貸付信託金と普通預金合計534万718円を給付すること、本件マンションを給付することを記載した書面を交付した(本件契約)。
妻と夫は、協議離婚し、夫は女性と再婚した。
しかし、夫は、妻に対して上記@及びAの金額をほとんど支払わなかったため、妻は、夫に対して本件契約に基づき、@Aの未払い金及び将来の支払を求める本件訴訟を提起した。
@一審は、将来の支払い分を含めて、妻の請求全額を認めた。
A控訴審は、以下のとおり述べて、妻の請求の一部を権利濫用として棄却した。
妻は現在は自活していける状況にあると認められること、夫と妻の収入と家族数、住居費の要否等からみた必要生活費とが著しく均衡を失している状態にあること、妻は離婚に当たり既に夫から本件マンション及び預貯金534万円余りの給付を受けていること、本件マンションは妻の住居として使用されていて、売却は予定されていないにしても、本件契約時でも2000万円を超える価値を有し、現在ではそれが4500万円近くに値上がりしていること、夫が妻に対して本件契約に基づく金銭給付を開始し始めた昭和60年10月から本件口頭弁論終結直前の平成2年4月までに夫が本件契約に基づいて妻に対して支払うべき給料分及び賞与分は、右契約時の給料及び賞与の額を基礎として計算しても、給料分が月8万円の55ヶ月分440万円、賞与分が年132万円の4年分528万円で、その合計は約1000万円に達することに照らすと、妻の本訴請求中平成2年5月以降も本件契約に基づき給料及び賞与分の支払を求める部分は、権利の濫用に当たり許されないものと解するのが相当である。
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