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中国人妻から日本人夫への離婚慰謝料請求
日本人の夫は、中国四川省成都市を訪れ、中国人の妻と同国四川省の方式に基づいて婚姻した。
妻は、来日し、夫の住所地で夫の両親と共に生活した。
夫は、妻にプレゼントするため、11回にわたり合計約27万円相当の商品を万引きし、懲役1年2ヶ月、3年間の執行猶予の判決を受けた。
妻は、夫と別居し、調停離婚をした。
妻は中国に帰国し、以後中国で生活している。
妻は、夫に対して離婚による慰謝料として300万円を請求する本件訴訟を提起した。
@一審は、以下のように述べて、夫に対して20万円の慰謝料の支払を命じた。
夫婦間の暴行はそれ程重大な状況にあったとはいい難いし、また窃盗事件自体も被告は常習であったとは言いがたいところであるが、婚姻して中国から単身来日、夫以外に頼るべき者のいない妻の立場からすれば、これらの事由により相当のショックを受け、婚姻生活に失望し、離婚を求める気になったとしてもやむを得ないものと考えられる。
従って、夫は妻に離婚に伴う慰謝料を支払うべき義務がある。
そこで、その場合の慰謝料額についてであるが、認定したところによると、慰謝料としては、20万円とすることが相当である。
A控訴審は、以下のように述べて、原判決を変更し、夫に対して100万円の慰謝料の支払を命じた。
本件慰謝料額の算定についてであるが、離婚慰謝料は、離婚したことにより受けた精神的苦痛を慰謝するものであり、離婚した者がその離婚調停成立当時どこで生活していたかとの点も考慮すべき一事情であることは否定できない。
しかし、本件慰謝料が日本における婚姻生活の破綻に基づき現に日本において請求されていることに照らすと本件慰謝料額を算定するにあたっては、妻の中国に帰国後の同地の所得水準、物価水準いかんは、逸失利益の算定の場合と比較してさほど重視すべきものではなく、かえってこれを重要な要素として慰謝料の額と対比し、不当に得をさせる結果を生じ、公平を欠くこととなると考えられる。
当裁判所は、以上の理由により、前記で認定した事実関係のもとにおいては、本件で夫に負担させるべき慰謝料の額は100万円をもって相当と認めるものである。
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