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別居6年の有責配偶者の離婚請求
夫は会社員で、妻は外国人相手の日本語学校の教師をしている。
外国人男性の妻から、妻とその外国人男性が交際しているので、夫に指導・監督して欲しいと言われたこと等があり、夫は妻が外国人男性と親密な関係にあるのではないかと疑念を抱くようになった。
夫は、他の女性と親密な関係になり、家を出て妻と別居し、そこに女性が訪ねてくる生活になったが、週に1回は自宅に帰っていた。
夫は、女性と同棲し、自宅へも帰らなくなった。
夫は離婚を求める調停を申立てが、不成立となった。
夫は妻に対して民法770条1項5号に基づき本件離婚請求訴訟を提起した。
@一審は、夫と妻の婚姻はもはや修復が困難であるとまでは認められないから、破綻状態にあると評価することはできないとして、夫の離婚請求を棄却した。
A控訴審は以下のように述べて、一審判決を取消し、夫の離婚請求を認めた。
夫と妻とは、もともと会話の少ない意思の疎通が不十分な夫婦であったところ、妻と外国人男性との不倫疑惑で夫婦の溝が大きく広がり、更に夫が女性と婚姻外の男女関係を続けた中で互いに夫婦としての愛情を喪失して別居に至ったのもので、別居後既に6年を越えているところ、その間夫婦関係の改善は全く見られなず夫の離婚意思は極めて強固であることが明らかであって、夫と妻の婚姻関係は完全に破綻し、今後話し合い等によってこれを修復していくことは期待できないものと認められる。
夫は有責配偶者であると認められるが、別居期間は平成8年3月から既に6年以上経過しているところ、夫らは夫婦はもともと会話の少ない意思の疎通が不十分な夫婦であって、別居前も妻と外国人男性との交遊に夫の側からみて前記のような疑念を抱かせるものがあり、そのころから夫婦間の溝が大きく広がっていたこと、二子とも成人して大学を卒業しているなど夫婦間に未成熟子がいないこと、妻は日本語学校に勤務してい相当の収入を得ているところ、夫は離婚に伴う給付として妻に現在同人が居住している自宅建物を分与し同建物について残っているローンも完済するまで支払い続けるとの意向を表明していることなどの事情に鑑みると、その請求が信義誠実の原則に反するとはいえない。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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