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有責配偶者からの婚姻費用分担請求
妻は、単身自宅を出て実家に戻り夫を別居し、借家に単身転居して、以後別居状態が継続してる。
妻、夫、子供たちの通っている高校の教諭、その妻との間で、合意書が作成され、妻と教諭は交際を断つこと、教諭は解決金として夫に30万円を支払うこと等が合意された。
更に、夫の代理人と教諭の代理人との間で合意書が作成され、教諭は、今後妻と交渉を行なわないこと、違反した場合には違約金を支払うこと等を合意した。
夫は、妻に対して、夫婦関係調整調停の申立てをしたが、同調停は不成立となった。
妻は、夫の対して、不動産仮差押命令及び面会禁止等仮処分命令の申立てをし、その旨の保全決定を得た。
また、妻は、夫に対して民法770条1項5号に基づく離婚、財産分与及び離婚慰謝料500万円の支払を求める訴訟を提起し、夫は、妻に対して予備的反訴を提起し、妻の不貞による離婚慰謝料500万円の支払を求めた。
妻は、保険外交員等として働いていたが、退職し、以後収入を得ていない。
妻は、夫に対して、婚姻費用分担の調停申立をなし、妻が無収入となったときから1ヶ月6万円の婚姻費用の分担を求め、同調停が不成立となり本審判に移行した。
離婚本訴の一審判決が下された。
同判決は、妻と教諭との不貞により婚姻関係が破綻したが、いわゆる過酷条項の適用はないとして、妻の離婚請求を認容し、妻の慰謝料請求を棄却し、夫に対して財産分与として約621万円の支払を命じた。
@原審判は、夫に対して、平成16年4月以降月額5万円の婚姻費用の支払を命じた。
A抗告審は、以下のように述べて、原審判を取消し、妻の婚姻費用分担申立てを却下した。
妻は、教諭と不貞に及び、これを維持継続したことにより本件婚姻関係が破綻したものというべきであり、これにつき妻は、有責配偶者であり、その妻が婚姻関係が破綻したものとして夫に対して離婚訴訟を提起して離婚を求めるということは、一組の男女の永続的な精神的・経済的及び性的な紐帯である婚姻共同生活体が崩壊し、もはや、夫婦間の具体的同居協力扶助の義務が喪失したことを自認することに他ならないのであるから、このような妻から夫に対して、婚姻費用の分担を求めることは信義則に照らして許されないと解するのが相当である。
B最高裁も妻の許可抗告を棄却した。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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