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成人の子からの養育費請求
妻と夫は、婚姻し、長女、二女が生まれた。
妻と夫は、親権者を妻と定める判決により離婚した。
その後、妻は、夫に対して、2人の子供の養育費の支払いを求める調停申立をなし、夫は妻に対して、長女の養育費として月額7万円、二女についても18歳まで月額6万6000円を支払うとの調停が成立し、夫はその支払を行なった。
長女は、私立大学に入学した。
そこで、妻は、夫に対して、大学の授業料及び生活費等の養育費の支払を求める審判の申立をなし、夫に、大学進学費用のうち104万円、未払い養育費合計33万6000円の一括払い並びに月額4万2000円の支払を命じる審判が下された。
長女は、成人となり、大学に通学している。
長女は、夫に対して、扶養料として、大学卒業まで月額9万円の支払と、大学授業料の一部の支払を求める本件審判の申立をした。
@原審判は、以下のように述べて、長女の申立を却下した。
親の子に対する扶養は、原則として未成年者である間、その子の養育費を負担し、病気、身体精神等の障害により自活能力がない場合などの特段の事情がない限り、親は成人後の子の扶養料は負担しないものと解する。
長女は、健康体の成人であって、その知的能力は問題がなく、身体的にも何ら障害も認められない。
してみると、長女の潜在的稼動能力は十分というべきであるとして、長女が要扶養状態にあるとはいえないとした。
A抗告審は、以下のように述べて、原審判を取消し、差し戻した。
4年制大学の進学率が相当高い割合に達しており、かつ、大学における高等教育を受けたか否かが就職の類型的な差異につながっている現状においては、子が義務教育に続き高等学校、そして引き続いて4年生の大学に進学している場合、20歳に達した後も当該大学の学業を続けるため、その生活時間を優先的に勉学に充てることは必要であり、その結果、その学費・生活費に不足を生ずることがあり得るのはやむを得ないことというべきである。
このような不足が現実に生じた場合、当該子が、卒業をすべき年齢時まで、その不足する学費・生活費をどうように調達すべきかについては、その不足する額、不足するに至った経緯、受けることができる奨学金の種類、その金額、支給の時期、方法等、いわゆるアルバイトによる収入の有無、見込み、その金額等、奨学団体以外からその学費の貸与を受ける可能性の有無、親の資力、親の当該子の4年制大学進学に関する意向その他当該子の学業継続に関連する諸般の事情を考慮した上で、その調達の方法ひいては親から扶養の要否を論ずるべきものであって、その子が成人に達し、かつ、健康であることの一事をもって直ちに、その子が要扶養状態にないと断定することは相当でない。
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