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長女を父で長男を母の親権者の指定
夫と妻は、長女と、長男が生まれた。
夫は妻に対して、離婚、2人の子の親権者を夫と指定することを求める訴訟を提起し、妻は夫に対して離婚、2人の子の親権者を妻と指定すること等を求める反訴を提起しました。
@一審は、夫と妻との婚姻関係は主に夫の飲酒の上での妻に対する度重なる暴力により破綻したとして、妻の離婚請求を認容し、有責配偶者である夫の離婚請求を棄却した。
親権者については、2人の子が約5年にわたり夫のもとで生活しているとして、2人の子の親権者を夫と指定した。
A控訴審は、以下のように述べて、原判決の一部を取消し、長男の親権者を妻と指定した。
長女の親権者は一審どおり夫。
父母が離婚するに際し、未成年の子の親権者の指定は、いずれが親権を行使する方が子の福祉にとって望ましいか、という観点により決定される。
右に認定した事実によれば、夫も妻も、一応はその監護能力について格別の長短は見当たらず、親権を行使することについての熱意も同等のものと認められる。
ところで、証拠によれば、夫は夫婦別居中、2人の子、とりわけ長男に対してせっかんを加えるなど暴力を行使していることが認められ、両者の間に健全な父子関係が形成されているかどうかが多分に危惧されるところ、このことと前認定のとおり本件婚姻が両者の生活の相違と、夫から妻に対する有形力の行使等により別居を繰り返した挙句破綻するに至ったという経緯に照らすと、夫が2人の子の親権者として妻より適当であるとは必ずしも言い難いばかりが、父親の暴力行使の対象となり易い息子については、むしろ、夫は、親権者として多分に懸念されるところがあるということができ、妻の方が親権者として適任でないかと考えられるのである。
一般に、複数の未成年者の子はできるだけ共通の親権に服しめるほうが望ましいが、ある程度の年齢に達すれば、その望ましさは必ずしも大きいものではないと考えられる。
本件の場合、長女は15歳、長男は12歳であって別々の親権に服させることが不合理であるような場合ではない。
また、一応、5年間以上も夫の許で監護養育されてきた事実も軽視できないが、これは夫妻両者の合意に基づくものではない。
長女は高校進学の年齢であり、その生活環境に変更を加えるのは好ましくなく、また、証拠によれば、妻との同居を必ずしも望んでいないと考えられる。
次に、長男は中学進学の年齢になったばかりであり、また、証拠によれば、妻と夫の選択に迷っていると考えられる。
以上の検討結果、結局、当裁判所は、長女は父、長男は母とそれぞれ親権者を指定するのが相当であると判断する。
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