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持ち出した共有財産の財産分与
妻と夫は、婚姻し、長女、長男が生まれた。
妻は、子供らとともに夫と別居した。
妻は、別居に際して、自己名義のゴルフ会員権証書、債券類合計3610万円相当を持ち出した。
妻は、離婚等を求める調停を申し立てたが、成立の見込がなかったため、取下げた。
妻は、夫に対して離婚、財産分与、慰謝料の支払いを求める本件訴訟を提起した。
@一審は、離婚、夫に対して妻への債券の財産分与を命じた。
A控訴審は、以下のように述べて、財産分与の対象となる実質的夫婦共有財産は合計7020万円であると認定し、一審判決のうち財産分与の部分を変更し、妻に対して夫へ1100万円の財産分与を命じた。
婚姻中の双方の生活状態、特に、妻が夫の特有財産及び夫婦共有財産の維持管理に当たって貢献を果たしているものの、ゴルフ等の遊行に多額の支出をしていて、夫婦財産の形成及び増加にさほど貢献していないこと、夫婦共有財産形成には夫の特有財産が大きく貢献していること、別居後の双方の住居その他の生活状態、特に、別居中の生活費は双方でそれぞれ負担したほか、長男の養育費を妻が負担したこと、財産分与の対象としてはいないが、妻が本件以外にも夫婦共有財産とみなすべき財産を所持している可能性が疑われること等本件の諸事情を考慮すると、財産分与の対象となる金額の約3割6分に相当する2510万円を妻に分与し、その余りを夫に分与するのが相当である。
そうすると、各財産の性質、所有名義、占有状態等のほか、本件記録に顕れた一切の事情を斟酌すると、本件離婚に伴う財産分与として、右財産のうち、ゴルフ会員権、宝石類及び債券類のうち100万円相当部分を妻に取得させ、残りを夫に取得させることとする。
そして、右妻、夫取得財産のうち、不動産、ゴルフ会員権及び株式はそれぞれ取得者名義であり、かつ、取得者が占有しているし、また、妻が取得する宝石類は妻が占有しているから、それらについては、主文において、各当事者に分与する旨を掲記しない。
これに対し、妻が取得する債券類は100万円相当であるから、前記共有財産に属すると認められ、かつ、妻が持ち出した債券類の評価額との差額相当の1100万円については、主文で、夫に分与される旨を宣言し、その金額相当額の支払いを命じることとする。
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