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調停成立後の養育費の事情変更
妻と夫は、婚姻し、長女、二女が生まれた。
妻と夫は、未成年者両名の親権者をいずれも妻と定めて調停離婚した。
この調停の際、夫は、無職で収入がなく、未成年者らの養育費を支払えないと主張したため、妻と夫は、今後相互に名目のいかんを問わず、金銭上、財産上の請求をしない旨を合意した。
妻は、夫に対して未成年者らの養育請求の調停申立をしたが、夫が期日に出頭せず調停不成立となり、本件審判に移行した。
夫は、離婚後トラック運転手として稼動していたが、入院した後、当時勤務していた会社を退職し、その後、他の会社に運転手として勤務している。
裁判所は、以下のように述べて、夫に対して、昭和63年1月から未成年者がそれぞれ成年に達するまで1にんあたり1ヶ月3万4563円の養育費の支払いを命じた。
妻と夫は、前記離婚に際し、未成年者らの監護費用は妻において負担する旨合意したものと認めることができ、こうした合意も未成年者らの福祉を害する等特段の事情がない限り、法的に有効であるというべきである。
しかしながら、民法880条は、「扶養すべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。」と規定しており、同規定の趣旨からすれば、前記合意後に事情に変更を生じたときは、妻は夫にその内容の変更を求め、協議が調わないときはその変更を家庭裁判所に請求することができるといわなければならないとし、本件における事情変更の有無については、遅くとも本件申立後である昭和63年1月には夫は経済的に安定した状態となり、反面、妻には、同人と未成年者らの最低生活費をも下回る基礎収入しかなく、事情に変更を生じ、妻が夫に対して前記合意の変更を求めることができると判断した。
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
民法第880条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
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