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給与天引による養育費のミネソタ州判決の執行
日本人の母は、男の子を出産した。
母は、日本人の父に対し、子の父親確認の訴えを提起し、父は不出頭のまま、子の父親であるとし、子の養育費の支払を命じる本件外国判決が下され、同判決は確定した。
母は、夫に対して、本件外国判決に基づき、同判決主文3項の養育費の給付を命じる部分につき、強制執行することの許可を求める本件訴訟を提起した。
なお、本件外国判決3項は、以下のとおりである。
父の現在の使用者、又は将来の使用者、又は他の基金の支払者は、その原因いかんにかかわらず、父の収入から天引し、ミネソタ州ミネアポリス市はヘネピン州サポート・アンド・コレクションサービスに、次のとおり、父の支払い期間及び義務に応じ、分割して送金する。
子の養育費として、同人が18歳に達するまで、同人が中等学校に就学している場合は20歳まで、同人に肉体的精神的疾患があって自活できない場合にはその間、さらに裁判所の決定があるときはこれに基づき、毎月1250ドル。
@一審は、以下のように述べて、母の訴えを却下した。
民事執行法24条、民事訴訟法200条により、外国判決の給付を命じた部分につき執行判決を求める訴えは、わが国において当該外国判決を承認しこれに基づく執行を可能とすることを目的とするものであるから、同条にいう外国裁判所の判決は、わが国の強制執行に親しむ具体的な給付請求権を表示してその給付を命じる内容を有する判決のみをさし、当該外国判決の給付を命じる部分が、わが国の強制執行にそぐわず、同部分につき執行を許可しても、そのままでわが国において強制執行をすることができないような内容を有する外国判決については、執行判決を求める利益がないのみならず、給付を命じる部分を承認し、執行を許可することもできないものというべきである。
A控訴審は、以下のように述べて、原判決を取消し、下記の養育費支払い義務について、母が父に対して強制執行することを許可した。
子の養育費として、1993年10月1日から同人が18歳に達するまで、同人が中等学校に就学している場合は20歳まで、同人に肉体的精神的疾患があって自活できない場合にはその間、さらに裁判所の決定があるときはこれに基づき、毎月1250ドル。
養育費支払についての給与天引制度は、アメリカが州国の前記法律によって認められたものであって、わが国には存在しない制度であるから、わが国においては、本件外国判決によって、判決の当事者ではない父の使用者等に対し、差押等を介することなく、子の養育費を父の給与から天引し、これを公的な集金機関に送金すべきことを命ずることができないのは明らかであるが、判決によって支払を命じられた養育費については、ミネソタ州法上、支払が30日以上ないときには、支払い請求権者が支払い義務者に対し所定の通知をし、支払義務者が支払をするか、所定の手続をとらない限り、執行することができるとされているのであって、本件外国判決のうち、父の使用者等に対し、父の給与の天引とヘンピン州サポート・アンド・コレクションサービスへの送金を命ずる部分は、ミネソタ州において、父に対し養育費の支払を命ずるものとして執行力を有しているというべきであるから、本件外国判決のうち養育費の支払を命ずる部分の執行力を、わが国においても外国裁判所の判決の効力として認めることができるものである。
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