最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
財産分与後の慰謝料請求権
妻と夫は、婚姻の際に、前妻との間の男子を連れ子として、妻と夫の間にも長女が生まれた。
妻は、夫及び夫の母からの暴力、虐待を受け、長女を連れて家を出ることを夫の母に阻止されたので、単身実家に帰った。
妻は、夫に対して離婚訴訟を提起し、離婚及び長女の親権者を夫と定め、夫から妻に整理ダンス1個、水屋1個の財産分与を命じる判決が下された。
妻は夫に対して離婚による慰謝料30万円の支払を求める本件訴訟を提起した。
@一審は、夫に対して15万円の慰謝料をの支払を命じた。
A控訴審も一審判決を維持した。
B最高裁も、以下のように述べて、控訴審判決を維持した。
本件慰謝料請求は、夫と妻との間の婚姻関係の破綻を生ずる原因となった夫の虐待等、妻に身体、自由、名誉等を侵害する個別の違法行為を理由とするものではなく、妻において、夫の有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めるものと解されるところ、このような損害は、離婚が成立してはじめて評価されるものであるから、個別の違法行為がありまたは婚姻関係が客観的に破綻したとしても、離婚の成否がいまだ確定しない間であるのに右損害を知り得たものとすることは相当ではなく、離婚が成立したときにはじめて、離婚に至らしめた相手方の行為が不法行為であることを知り、かつ、損害の発生を確実に知ったこととなるものと解するのが相当である。
財産分与がなされても、それが損害賠償の要素を含めた趣旨とは解せられないか、そうでないとしても、その額及び方法において、請求者の精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められるものであるときは、すでに財産分与を得たという一事によって慰謝料請求権がすべて消滅するものではなく、別個の不法行為を理由として離婚による慰謝料を請求することを妨げられないものと解するのが相当である。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|