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不貞相手へ未成年の子から慰謝料請求
夫は、銀座でホステスをしていたある女性と親しくなり、数ヵ月後に情交関係をもった。
女性は、夫との間に女児をもうけ、自分で育てていた。
夫は、その子を認知した。
妻は夫と女性の関係や子が生まれていることを知り、夫を厳しく非難した。
夫は妻の非難に嫌悪して、家を出て、女性と暮らしている。
不法行為に基づき、女性に対して、妻は500万円、その長女は200万円、その二女と三女それぞれ100万円の慰謝料請求の本件訴訟を提起した。
@一審は、妻に300万円、その長女に30万円、二女及び三女に各50万円の慰謝料を認容した。
A控訴審は、以下のように述べて、妻らの請求を棄却した。
夫と女性とは、夫の誘いかけから自然の愛情によって情交関係が生じたものであり、女性が子供を産んだのは母親として当然のことであって、夫に妻子があるとの一事でこれらのことが違法であるとみることは相当ではなく、また、夫と妻の婚姻生活は、妻が夫と女性との関係を知り、夫が別居した昭和39年6月に破綻するに至ったものと認めるのが相当である。
そして、この別居は夫が妻に責められ愛情を全く喪失したため敢行されたものであって、女性が夫に同棲を求めたものではなく、女性に直接の責任があるということはできない。
そして夫と女性が同棲生活に入ったのは、前記認定のとおり、夫と妻との婚姻生活が既に破綻した後であって、しかも夫の方から女性にのもとに赴いたものであって、これをもって女性に違法があるとすることはできない。
また、夫が女性と同棲して以来子供である長女らは夫の愛情養育を受けられなくなったわけではあるが、これは一に夫の不徳に帰することであって、女性に直接責任があるとすることはできない。
B上告審は、以下のように述べて、原判決中妻に関する部分のみを破棄して差し戻した。
夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。
妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持った女性が妻子のもとを去った右男性と同棲するに至った結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったとしても、その女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど特段の事情のない限り、右女性の行為は未成年の子に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
けだし、父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によって行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被ったとしても、そのことと右女性の行為との間には相当因果関係がないものといわなければならないからである。
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