最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
2歳の子の連れ去りの監護者の指定
妻と夫は、婚姻し、子が生まれた。
妻は、夫が女性と携帯電話でメールをしているのを見たことから夫の浮気を疑い、未成年者を連れて実家に帰り、以後夫と別居している。
妻、未成年者、妻の実母が買い物に出かけた際に、夫が現れ、夫は、今日は未成年者を連れて帰って実家の母にも会わせたいと強く主張したため、妻は、折れてこれを承諾した。
翌日妻が夫に電話をかけて未成年者を引き取りに行く旨を伝えると、夫はこれを拒み、それ以後夫は、未成年者を妻に引き渡さず、会わせてもいない。
妻は、離婚調停申立をなし、更に監護者の指定と未成年者の引渡しを求める調停も申し立てた。
@原審は、以下のように述べて、妻の申立を認め、未成年者の監護者を妻と定め、夫に未成年者の引渡しを命じた。
未成年者の養育に主として当たってきたのは妻であることは疑う余地がない。
また、妻の未成年者に対する養育態度に、格別問題とする点も認められない。
したがって、妻が夫と別居したことの是非はともかく、別居する際、妻が未成年者を実家に連れて行ったのは、主として養育に当たってきた者として、それまでの養育環境の継続という意味で、当然のことであったということができる。
これに対し、未成年者がこのような経緯で、現在夫の下にあることは、全体的に考察すれば、夫において未成年者を奪取した結果によるものというべきものであり、違法状態を形成しているものといわざるを得ない。
したがって、仮に未成年者が現在精神的その他において安定した状況にあるとしても、そのことを直ちに肯定的に評価することはできない。
A抗告審も、以下のように述べて、原審判を維持し、夫の抗告を棄却した。
夫は、未成年者の安定した状態、夫の実母の協力による監護態勢、夫の資力等、子の福祉という観点から、監護者は夫が適当であると主張する。
しかしながら、妻の監護権を侵害した違法状態を継続している夫が現在の安定した状態を主張することは到底許されるものではない。
また、未成年者がいまだ2歳の女児であり、本来母親の監護が望ましい年齢にあることに加え、記録からは、妻が育児をすることについて不適格な事情が認められない本件では、未成年者の監護者として妻が相当であることは明白である。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|