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暴力を原因とする離婚で面接交渉
夫と妻は、約10年間の同棲生活を経て、婚姻し、長女が生まれた。
妻が夫とその妹の関係を問い詰めた際、夫は、長女及び妹の面前で同人の顔面を数回殴るなどの暴力を加えた。
その後、夫は、妻に暴力を振るい、妻は、加療2ヶ月を要する肋骨骨折等の傷害を負った。
また、夫は、保育園において、喧嘩をして泣いていた長女を突き飛ばし、同人に全治4週間を要する上腕部骨折の傷害を負わせた。
妻は、長女を連れて家を出て、夫を別居した。
妻は、離婚を求める調停申立をしたが、不成立となり、離婚訴訟を提起した。
長女の親権者を妻と定めて離婚を認め、夫に慰謝料として500万円の支払を命ずる判決が確定した。
夫は、妻に対して、長女との面接交渉を求める本件審判申立をした。
裁判所は、以下のように述べて、夫の申立を却下した。
子の監護者とならなかった親と子との面接交渉をすることは、一般、抽象的には、子の利益にそうものと考えられるところから、子の監護に関する処分の内容として認められているが、具体的に面接交渉を認めるか否かは、監護について必要な事項か否か、あるいは、子の利益のため必要があるか否かという観点から、決められるべきことがらであり、面接交渉を認めることが子の最上の利益にそうものであると認められない場合には、面接交渉を求めることはできないと解するのが相当である。
夫は妻に対し、繰り返し、暴力を振るい、骨折を伴うような重大な傷害を与えていること、そのため、妻は、夫に対し、強い恐怖感を抱いており、所在を知られることによって、再び暴行を受けるかもしれないという危惧感を抱いており、そのような感情を抱くことが不自然、不相当ということはできないこと、これに対し、夫において、例え暴力をふるったことに理由があるとしても、その暴力について反省し、妻の恐怖感を和らげるような行動が十分にとられているとは認めがたいこと、妻及び長女は、現在は、暴力を受けることなく、安定した状態で生活していること、前記認定のような暴力が過去にあり、長女は積極的に接触を求めてはいないことなどが認められ、これに本件記録に現れた一切の事情を総合すると、夫が長女に愛情を抱いている事実があるとしても、現時点において、夫が求める面接交渉を認めることが子の最上の利益に合致するとは認められない。
反対に、もし、これを認めると、長女が再び両親の抗争に巻き込まれ、子の福祉が害される危険がある。
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