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父から母へ親権者変更申立
妻と夫は、婚姻し、長女、長男が生まれた。
妻は、元の職場の同僚であり妻子もある男性と不貞関係を結ぶようになり、妻は、長女及び長男を連れて実家に帰り以後夫と別居した。
妻、夫、双方の両親等が集まり、話し合いが持たれた。
その責に夫が依頼した調査会社の調査員及びその男性が同席し、妻と男性は不貞関係を認め謝罪等した。
その後、妻と夫は、離婚届を作成し、夫が長男及び長女の親権を強く希望し、親権者欄に夫と記載した。
翌日妻と夫は離婚届を区役所に提出した。
妻は、長女及び長男を連れて実家に帰ろうとしたため、夫とつかみ合いになり、妻が通報した警察官が臨場したため、夫は子らを妻に引渡し、その場を納めた。
夫は、妻に対して子らの引渡しの調停を、妻は夫に対して子らの親権者変更の調停をそれぞれ申立て、調停不成立により本件審判に移行した。
@原審判は、以下のように述べて、妻の親権者変更の申立を却下し、夫の子らの引渡しを認容した。
長女及び長男について、親権者を夫から妻に変更するまでの事情はなく、妻は、親権者を夫を定めることに合意したにもかかわらず、長女と長男を一度も夫に引き渡していないこと、長女は6歳の女児であり、長男は3歳の男児であるから、その年齢等からして一般に母親が必要な時期であることも否めないが、本年紛争前の夫と長女及び長男との父子関係には特に問題がなく、夫は、本件調停の席上において、妻の面接交渉を認める意向を示しており、これによって父子関係を補完することも不可能ではないものと考えられることなどを総合すると、長女及び長男を妻から夫に引き渡すのが相当である。
A抗告審は、以下のように述べて、原審判を取消し、妻を子らの監護者と指定した。
妻は、長女及び長男の誕生以来妻の両親等の援助を得て養育監護を続けており、家庭裁判所調査官の調査報告書及びその添付資料によれば長女及び長男に対する監護意欲も十分に認められること、妻と長女及び長男との関係は良好であり、長女及び長男は妻の両親等との生活にも親しんでいること、現在長女は6歳4ヶ月、長男は3歳5ヶ月の年少者であり母親のきめ細かな養育監護の継続が特に必要とされること、長女及び長男は年少の2人の姉弟であり同一人の監護のもとで育てられることが望ましいこと、一件記録及び当審の審問の結果によれば、妻の監護のもとで、夫と長女及び長男との面接交渉が期待できると認められることなどからすると、上記のとおり、妻と夫で養育条件に優劣がつけられない本件においては、特に長女及び長男の情緒の安定という観点から、現状のまま妻が引き続き養育監護するのが望ましいというべきである。
ところで、子の監護権は親権の機能の一部であると解されるところ、妻は、一貫して、親権者を夫と指定するに際し、そのまま監護を継続できると考えていたと主張しているから、本件親権者変更申立には長女及び長男の監護権者の指定の申立も含まれていると解する。
そうすると、親権者変更申立は上記理由により却下を免れないが、長女及び長男の監護権者を妻に指定することについては理由があるから、同監護権者を妻に指定する審判をするのが相当であり、抗告裁判所もこれをなし得るものと解すべきであるので、当裁判所は、長女及び長男の監護権者を妻に指定することとする。
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