最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
離婚の財産分与義務の相続
妻と夫は、婚姻し、長女、二女が生まれた。
妻は、ある男性と不倫関係を結ぶようになった。
妻は、家出して、そのまま男性のもとにはしり、妻は夫と協議離婚をした。
男性は、男性の妻と協議離婚し、妻と再婚した。
夫は、死亡した。
妻は、長女、二女が夫の妻に対する財産分与義務を相続したとして、財産分与の審判申立てをした。
長女、二女は、妻に対して、夫と妻の離婚に基づく財産分与請求権が存在しないことの確認を求める本件訴訟を提起した。
裁判所は、以下のように述べ、妻に夫との離婚に基づく清算的・扶養的財産分与請求権が全く存在しないということはできないとして、長女、二女の請求を棄却した。
清算的財産分与義務に関しては、それが財産的請求権であることに鑑みると、その相続を否定する理由はない。
一方、扶養的財産分与義務については、妻ら主張のように、当該義務の一身専属性を肯定しつつ、被相続人の生前に財産分与請求の意思表示がなされたか否かで決する考えもあるが、にわかに採用し難いといわなければならない。
むしろ、第一に、民法上の相続制度の趣旨は、同法887条以下の所定の相続人に対し、相続財産中に存在するその潜在的持分の取戻しを認めるとともに、その生活保障を図ることなどにあると解されるところ、配偶者の場合、このような要請は、離婚の場合には存在し、これを規定したのが同法768条であると解することもでき、このような見地によると、扶養的財産分与義務は、その相続を認めるのが相当と考えられること、第二に、相続人が、その承継した被相続人の立場に立って、財産の分与に関する協議をすることも実際上は可能であること、第三に、当該義務の相続を肯定したとしても、相続放棄・限定承認など民法上の他の制度によりその責任を相続財産の限度にとどめることが可能であること、第四に、扶養に関する一般規定たる民法881条は「扶養を受ける権利は、これを処分することができない。」と規定するだけであって、同条も明文上は不要「義務」の「相続」を否定してはいないこと、などの諸点に鑑みると、扶養的財産分与義務についても、その相続を肯定するのが相当であるといわなければならない。
(子及びその代襲者等の相続権)
民法第887条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
(財産分与)
民法第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
(扶養請求権の処分の禁止)
民法第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|