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暴力を振るう夫の面接交渉
夫と妻は、婚姻し、長男、長女、二男をもうけたが、別居し、3人の子の親権者をいずれも妻と定めて協議離婚した。
妻が別居した原因は夫の暴力にあり、妻は、各地の福祉施設を転々とした。
夫は、世田谷区の福祉課に妻の居所を照会したり、妻らの寄宿先の福祉施設に赴いて面会を求めたりし、妻らを探し当て、長野市内の長男及び長女の小学校前で妻を待ち構えて、二男を妻から取り上げ、駆けつけた警察官に説諭されるまで二男を抱きかかえて離さなかった。
夫に対して、以下の内容の接近禁止等の仮処分決定が下された。
「夫は、妻の勤務先や妻及びその子らの居所を探知したり、立ち入ったり、その付近を徘徊したり、佇んだり、その後を追跡したり、妻に架電したり、面会を求めたりしてはならない。」
夫は、3人の子との面接交渉を求める本件審判申立をした。
裁判所は、以下のように述べて、夫の申立を却下した。
親権者である妻は、未成年者らを監護養育しながら、夫の追跡を逃れて各地の福祉施設を転々としており、父親である夫との面接交渉に強く反対している。
未成年者らは、長男が満9歳、長女が満6歳、二男が満4歳で、身体・内心共に幼い面が大きく、未成熟な成長段階にある。
家庭裁判所調査官が未成年者らと面接して調査をした結果によれば、未成年者らは、いずれも健康で、平穏かつ安定した生活状況下にあり、母親である妻とは親和的である。
調査官の面接に対する未成年者らの答えは、現在の生活状況に満足しているというもので、その生活の平和と安定が乱されることを恐れており、はっきりと夫への嫌悪感情を示す者もいた。
未成年者らの現在の福祉のため最も重要なことは、未成年者らの健康と、平穏かつ安定した生活状況を保つことである。
離婚前の当事者らは、未成年者の面前においても、夫婦間の不和を示しがちであった。
今回の夫婦別居に直面した未成年者らは、父母の間の不和が厳しいことを感じ取っていたはずである。
その上に、夫が長野市内の小学校前において妻や未成年者らを待ち構えており、二男を抱きかかえて父母間の争奪の対象にしてしまったという経緯も存在し、こういった父母の緊張関係は未成年者らに強いストレスを及ぼしたと窺われる。
夫が未成年者らとの面接交渉を求める必要性は、主として夫の内面の満足のためであるとしか言いようがない。
夫の従前の行動は賢明とはいえないところがあり、親子間の愛情交換の期待とは正反対に妻らの反発を招く結果を招いた。
現時点において、夫との面接交渉は、未成年者らに弊害を招きかねないことで、その福祉に合致しないことである。
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