最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
不貞行為の慰謝料の消滅時効
夫は、ある女性と情交関係をもち、同棲し、子ができ生み、引き続き同棲生活を続けた。
妻は、女性に対し、慰謝料として5000万円の支払を求める本件訴訟を提起した。
@一審は、女性に対して500万円の支払を命じた。
A控訴審では、女性は、消滅時効の抗弁を主張したが、判決は、継続した同棲関係が全体として妻に対する違法な行為として評価されるべきで、日々の同棲を逐一個別の違法な行為として把握し、これに応じて損害賠償義務の発生及び消滅を日毎に定めるものとするのは、行為の実質にそぐわないものであって、相当ではないから、本件損害賠償義務は、全体として女性と夫との同棲関係が終了した昭和62年12月から消滅時効が進行すると判断して、女性の消滅時効の抗弁を排斥した。
そして、一審が昭和41年から昭和62年までの間の慰謝料として算定した500万円は相当であると判示した。
B最高裁は、以下のように述べて、控訴審判決を破棄して差し戻した。
夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者の同棲により第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同棲関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。
けだし、右の場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同棲関係が解消されるまでの間、これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は、同棲関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからである。
妻が女性に対して本訴を提起したのは、記録上、昭和62年8月31日であることが明らかであるから、同日から3年前の昭和59年8月31日より前に妻が女性と夫との同棲関係を知っていたのであれば、本訴請求に係る慰謝料請求は、その一部が既に時効より消滅していたものといわなければならない。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|