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離婚訴訟の離婚前の養育費請求
妻と夫は、婚姻し、長女が生まれた。
夫は、父親の代から家族で鰻屋を営んでおり、結婚の約1年後に建物を建築し、その1、2階が店舗、3階が夫の母と次姉の、4階が夫妻の、5階が長姉のそれぞれの居住部分であった。
妻は、このような同居生活に耐えられず、長女を連れて家出をし、以後パートをしながら、母子寮で生活してる。
なお、夫は別居後妻及び長女に対して生活費を全く支払っていない。
妻は、夫に対して、離婚、慰謝料として500万円、長女の親権者を妻と指定、長女の養育費として別居の翌月から成人に達する月まで、月6万円の支払を求める訴訟を提起した。
夫は離婚を争っている。
@一審は、以下のように述べて、慰謝料を150万円とした以外は妻の請求を全て認めた。
妻と夫との婚姻生活は、両名の育成した家庭環境及びその中で培われた価値観の相違により破綻が生じ始め、夫が適切な対処法を怠ったことにより妻の夫に対する信頼は完全に互解してしまったことに加えて、別居以来既に2年半余りが経過したが、この間夫が事態の改善のために格別の努力をした形跡は認められず、また、妻は夫との婚姻生活を継続する意思を全く有していないことを考慮すると、本件婚姻生活はもはや修復し難い破綻状態に達しており、婚姻生活を維持することは到底困難であるというほかない。
A控訴審も一審判決を維持したが、養育費の点だけ一部変更し、長女が学齢に達するまでの養育費を月額5万円、その後は月額6万円とした。
B上告審は、離婚訴訟で離婚までの養育費の支払を命ずることについて、以下のように述べて、これを認めた。
離婚の訴えにおいて、別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立があった場合には、裁判所は、離婚請求を認容するに際し、民法771条、766条1個を類推適用し、人事訴訟手続法15条1項により、右申立に係る子の監護費用の支払を命ずることができるものと解するのが相当である。
(協議上の離婚の規定の準用)
民法第771条 第766条から第769条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3 前2項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
けだし、民法の右規定は、父母の離婚によって、共同して子の監護に当たることができなくなる事態を受け、子の監護について必要な事項等を定める旨を規定するものであるところ、離婚前であっても父母が別居し共同して子の監護に当たることができない場合には、子の監護に必要な事項としてその費用の負担等についての定めを要する点において、離婚後の場合と異なるところがないのであって、離婚請求を認容するに際し、離婚前の別居期間中における子の監護費用の分担についても一括して解決するのが、当事者にとって利益となり、子の福祉にも資するからである。
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