最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
標準的算定方式による婚姻費用分担額の算定
夫は、家を出て妻と別居した。
妻は、夫に対して、夫婦関係調整の調停申立をなし、同調停事件の第2回期日に、本件婚姻費用分担調停を申し立てた。
妻は妻の実家で、母、姉、長女と4人で生活しており、働いておらず、主に姉の収入に頼って生活している。
夫は、母が借りた都民住宅で母と同居し、ホテルに勤務し、その給与収入は年間約614万円である。
@原審は、以下のように述べて、夫に対して、月7万円の婚姻費用の支払を命じた。
夫の実母の生活に要する費用が必要であるとの主張については、「実母は必ずしも十分でないものの年金収入があり、夫が扶養しているとしても、それは生活扶助は考慮すべき事情とはいえない上、平均的な生活費を基礎とすることに加えて特別に考慮すべき事情とはいえない」とし、妻が働いていない点については「婚姻費用の分担のいわば原資となる収入については、妻は現在稼動していないものの、稼動能力は十分にあると認められるから、少なくとも賃金センサスによる同年齢のパート収入程度の年収が得られるものと推定するのが相当である」とした。
A抗告審も、以下のように述べて、夫の抗告を棄却し、原審判を維持した。
「総収入に対応して租税法規等に従い理論的に導かれた公租公課の標準的な割合並びに統計資料に基づき推計された職業費及び特別経費の標準的な割合から基礎収入を推定してその合計額を世帯収入とみなし、これを生活費の指数で按分して作成した算定表に上記認定の夫及び妻の各総収入額を当てはめると、夫の分担額は概ね月額6万円ないし8万円と算定される。」
夫の給与は、婚姻以来妻の管理する預金口座に振り込まれていたから、妻の手許には相当の金員が残っているはずであるとの夫の主張については、「仮に、夫
と妻との共同の財産とみるべき預金があり、これを妻が管理しているとしても、その分与額等の処置は、財産分与の協議又は審判若しくは離婚訴訟に付随する裁判において決められることであり、妻においてこれをまず婚姻費用に宛てなければならないという根拠はない。」と判示した。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|