宗教活動を原因とする離婚請求の認容




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宗教活動を原因とする離婚請求の認容

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宗教活動を原因とする離婚請求の認容

離婚の事案

妻は、ある宗教団体の勉強会に参加するようになり、熱心な信者となり、子供を連れて定期的に集会に参加するようになった。

夫は、妻が信仰している宗教がある宗教団体であることを知り、妻に対して信仰を止めるよう説得したが、妻はこれを聞かなかった。

夫は、その後、妻とは家庭内別居の状態となり、自宅を出て妻や子供たちと別居をした。

夫は、離婚調停の申立てをしたが、いずれも不調となった。

夫は、妻に対して、離婚、慰謝料として600万円の支払い、子供たちの親権者を妻と定めることを求める本件訴訟を提起した。



離婚の判例

@一審は、夫と妻との婚姻生活は破綻に瀕しているが、その責任は主として夫にあり、夫が家庭の幸福を取り戻すための努力をすべきで、円満な家庭を回復する可能性はあるとして、夫の請求を棄却した。

A控訴審は、以下のように述べて、原判決を取消し、民法770条1項5号に基づき夫の離婚請求を認容したが、夫の慰謝料請求については、婚姻破綻の責任は双方にあるとして、認めなかった

夫は、前記認定の経過に基づき、自らの意思によって既に長期間別居しており、今後妻が宗教活動を止めても再び夫婦としての共同生活を営む気持ちは完全に喪失したと考えているのに対し、妻は、夫と離婚する気持ちは全くなく、夫が帰ってくるのをいつまでも待っているとはいうものの、夫との共同生活を回復するために、宗教活動を止めるとか自粛する気持ちは毛頭なく、夫が「ある宗教団体」を嫌悪するのは、同人がその協議を正しく理解しておらず、かつ、アルコール依存症により精神状態が不安定になっているためであると考えるなど、夫の考えとは全く相容れない正反対の考え方をしているから、今後、双方が相手のために自分の考え方や立場を譲り、夫婦としての共同生活を回復する余地は全くないものといわざるを得ない。

したがって、夫と妻との婚姻関係は、既に完全に破綻しているものと認めざべきである。

信仰の自由は、個人の基本的人権に属する問題であり、夫婦といえどもこれを侵害することは許されない

しかし、夫婦の間では、互いに相手の考え方や立場を尊重して、自己の行為の節度を守り、相協力して、家族間の精神的融和をはかり、夫婦関係を円満に保つように努力すべき義務があるのであり、夫婦の一方が自己の信仰の自由のみを強調し、その信仰に基づく宗教活動に専念して、相手の生活や気持ちを全く無視するような態度をとった結果、夫婦関係が悪化し、婚姻関係を継続し難い状態に立ち至った場合には、その者にも婚姻関係破綻の責任があるとされてもやむを得ないものといわなければならない。

一方、前記認定の事実によれば、夫は、妻との婚姻生活中、飲酒にふけり、酔余落書きや器物破損に及んだこと等が認められるが、これらは、婚姻関係破綻の原因というよりは、むしろその結果というべきであり、仮にこれらが婚姻関係破綻の一因となったとしても、これのみでその破綻が生じたものとは解し得ない

また、夫が妻に対し、同人の宗教活動を止めさせようとしたこと自体も、前記認定の事実関係の下においては、それほど非難に値する行為であったということはできない

むしろ、本件においては、当事者双方が、それぞれ相手方の考え方や立場を無視してかたくなな態度をとり、婚姻関係を円満に継続する努力を怠ったことが婚姻関係破綻の原因であると考えられるから、夫のみに右婚姻関係破綻の責任を負わせることはできず、その責任は夫と妻の双方にあるといわざるを得ないとした。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。


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