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離婚調停中の子の監護者の指定
妻と夫は、結婚後6年の夫婦で、長女と長男の子があるが、妻は、単身実家に帰って別居した。
夫は、妻に対して離婚及び長女、長男の親権者を夫と定める旨の調停申立をした。
他方妻は、夫に対して、長女、長男の監護者を妻に指定し、長女、長男の引渡しを求める本件審判の申立をした。
@原審は、妻の申立を認め、長女、長男の監護者を妻と認め、夫に長女、長男の引渡しを命じた。
A抗告審において、夫は、原審は、離婚調停が係属しているのに、本件を調停に付さず当事者の審問もしないで、突然審判を下しており、手続き上重大な瑕疵がある。
原審における調査官の調査報告は、調査が不十分な点等があり、調査官が未成年者の監護者は母親が適当であるとの先入観をもって調査したと疑われるほどに妻に傾斜している。
原審判は母親優先原則のみに依拠している。
未成年者に最善の利益は現状の環境下での養育である等と主張した。
調査経緯に照らせば、審問の機会が与えられず、審判官が調査官の調査報告書に依拠して判断したとしても、それだけで原審判を取消し、差し戻しをすべきものとまでは認められない。
また、本件につき、調停に付されなかったとしても、関連の離婚調停や面接交渉につき本件との同時解決を目指して調停が進行していたことからすれば、原審判が夫にとって不意打ちであるとすることもできない。
本件調査報告書については、夫婦の別居に至る紛争経緯やその原因に関する記述が多く、子の監護の判断要素として、これほど詳細な記述が必要であるか否かは疑問なしとしないこと、「妻と未成年者らとの交流状況の観察から、未成年者らには母性の要求が満たされておらず、これを必要としていると判断を示しているにもかかわらず、交流状況のいかなる部分からこのような判断がされたのかが必ずしも明でないこと」等とその問題点を指摘したが、結局、このような点から直ちに夫を監護者とすべきものとの結論に結びつくものとは考えられないとした。
そして、「その置かれた状況下において、内心では妻に対する思慕の情を抱きながら、夫に対する愛情や配慮からそのような真意をなるべく包み隠そうとする未成年者らの心情を思えば、未成年者らにとって、現下の最善の利益は、妻から心身にわたる監護を受けて継続的情緒の交流を保ち、その母性に日常的に接することであると判断される。」と述べた。
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