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無断で妻子名義の不動産の抵当権
山田さんは、田中さんに500万円の借金を頼んだが、田中さんは山田さんのギャンブル好きを知っていたので、貸すのを渋っていました。
しかし、山田さんが妻と息子の共有の時価3000万円ぐらいする建物があるから、これを担保にすることを条件に借金を頼んできたので、承諾し、抵当権設定登記をするため、建物の権利証と妻と息子の各代理委任状、印鑑証明証を使って登記しました。
山田さんは、返済期日になっても返済してくれず、連絡も取れなくなったので、抵当権の実行をしようとしていた矢先に、山田さんの妻と息子から抵当権の抹消請求の訴訟を起こしてきました。
その理由は、山田は、妻と息子に無断で勝手に抵当権を設定したいうことなのです。
この借金が日常の家事から生じた借金であるなら、妻はその借金を山田と連帯して支払わなければならなくなり、日常の家事について妻を代理することができますから、抵当権設定登記は、代理権を超える行為である表見代理が成立し、抵当権も有効になる可能性もあります。
(日常の家事に関する債務の連帯責任)
民法第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
(権限外の行為の表見代理)
民法第110条 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
しかし、息子の関係では、抵当権を有効とする可能性はゼロです。
息子は未成年であり、山田は親権者ですから、自分の借金のために建物に抵当権を設定するのは、利益が相反することは明らかで、このような場合には家庭裁判所から特別代理人を選任してもらわなければならず、山田には息子を代理する権限はないのです。
(利益相反行為)
民法第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
山田の行為は、無権代理となり、妻と息子が追認しない限り、抵当権設定の登記は効力がありません。
また、山田さんが妻と息子に無断でそのようなことをすれば、私文書偽造、詐欺罪に処せられます。
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