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模造品の販売で逮捕の無罪
山田さんは、玩具卸メーカーの社長ですが、経営不振が続いている。
そこに、顔見知りのブローカーが現れ、今人気の電子ペットを大量に輸入したので、買わないかという話だった。
それは、模造品であったのですが、単価は本物の3分の1以下でした。
山田さんは、意を決して、模造品を仕入れ、取引先の小売店に売り込みをかけたところ、それは売れに売れ、会社は持ち直しました。
しかし、本物を扱う会社から告発を受け、会社に刑事訪れ、家宅捜索が始まりました。
山田さんは、法律の知識を吸収し、実は切り札を用意していました。
告発内容がデザイン形態の模倣についてだけと知ったとき、刑事処分を免れる方法を思いつきました。
著作権法では、著作権等を侵害する行為によって作成された品物を事情を知って領布し、また領布する目的で所持する行為は、著作権等を侵害する行為として、この権利を侵害した者は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」と定めています。
この事例では、電子ペットが著作物であるかどうかか問題になりました。
絵画や彫刻など、もっぱら鑑賞目的の創作物である純粋美術が同法の保護を受けることは明白ですが、実用に供され、産業上利用される美的創作物の応用美術も、純粋美術と同視しうる場合に同法の著作物となると、判例で認められています。
客観的にみて実用面や機能面以外に独立して美的観賞の対象となる美的特性のある物については、実用品のデザイン形態であっても著作権法上の著作物になるとされています。
しかし、電子ペットは、愛らしさがあって親近感を抱かせるという意味で美的特性を備えているが、玩具としての実用性及び機能性保持のための仕様が強く現れたため、これにより美感が削がれ、その結果、全体としては美術観賞用の対象となる審美性が備わっているとは認められないとしました。
そして、電子ペットのデザイン形態は著作物に該当しないとして、無罪としました。
実際の判例では、人気電子ペット「ファービー」の模造品販売事件でも、「実用性や機能性を重視するつくりが目立ち、純粋美術と同程度の審美性はない」として、ファービーのデザインは著作物に当たらないとし、著作物に当たるとする検察側の主張を退け、被告に無罪を言渡しました。
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