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隣室のガス事故で中毒の損害賠償
アパートの一室を借りていた女性が、浴槽用ガス湯沸し器をつけっ放しで眠ってしまい、不完全燃焼による一酸化炭素中毒で死んでしまいました。
そのガス事故で、その隣の幼い2人の子供を持つ母親が、重い一酸化炭素中毒にかかりました。
その後、この母親は回復しましたが、ヨチヨチ歩き程度、知能も幼稚園程度以下となり、子供の面倒も見れなくなりました。
そこで、被害者の姉が被害者を禁治産者にして、後見人となり、子供については、姉の夫婦が養父母となり、訴えを起す準備ができました。
訴えの相手は、眠りこけてガスを不完全燃焼させた隣室の女性が過失責任を負うのは明らかですが、死亡してしまい、その相続人は、損害賠償義務を相続しますが、相続人が相続放棄したら誰もいなくなります。
そこで、被害者の姉夫婦は、家主に対し、ガス漏れはアパートの壁、天井の欠陥に基づいたものだから、民法717条によって、損害賠償の責任請求の訴えを起こしました。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法第717条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
家主は、アパート自体、建築基準法の要求をみたしているから、民法717条にいう「設置又は保存」に瑕疵がある場合に該当しないと反論しました。
裁判所は、ガス漏れ事故に対応して、各貸し室間は気密性は保つべきであったとし、家主に対して、約1600万円の賠償を命じました。
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