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いたずら電話で傷害罪の成立
太郎さんは、かつて交際していた花子さんを忘れられず、よりを戻して欲しいと頼んだのですが、聞き入れてもらえず、自宅や勤務先、花子さんの家族の経営する喫茶店に電話を日に数十回入れるようになり、とうとう警察官が訪ねてきて、任意同行を求められました。
太郎さんは、注意か罰金かと思っていたのですが、軽い処分ではなかったのです。
事情聴取した警察は犯情悪質と逮捕し、検察庁に書類送検し、検察庁では花子さんに対する傷害罪と喫茶店に対する業務妨害罪で起訴しました。
傷害罪は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金又は科料、業務妨害罪は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
検察は、傷害罪適用の理由について、度重なる嫌がらせ電話により、花子さんにPTSD(心的外傷後ストレス障害)を負わせたことをあげ、裁判所も「一連の脅迫電話は外傷体験に該当する」と、嫌がらせ電話とPTSDとの因果関係を認めて有罪判決を言渡しました。
交際を拒否されたことに腹を立て、相手方に頻繁に嫌がらせ電話をかけたような場合、ストーカー規制法による警告や禁止命令を受けることがありますが、その回数や内容が度を越し、相手方に極度の恐怖心などを与えると、例え直接的な暴行行為がなくても、刑法の傷害罪で処罰されることもあるのです。
また、20代の女性会社員が、彼氏の昔の恋人に、自宅、職場、実家などへ3年半にわたって計1万2000回以上の嫌がらせ電話や無言電話をかけ、その結果、相手女性にPTSDを追わせた事件で、裁判所は傷害罪の成立を認めています。
この事件の被告女性は、当初被害者の母親が経営する美容院への業務妨害罪で起訴されていましたが、被害者は長期間、無言電話や脅迫電話を受けた結果、ベルの音に過剰に怯え、極度の恐怖心から情緒不安定に陥って、治療を必要とするPTSDを負ったとわかったため、検察は傷害罪と業務妨害罪に変更しました。
裁判所は、被告の一連の嫌がらせ電話や無言電話は、被害者に強い恐怖心を与えるもので、それによる精神的苦痛は外傷体験に該当すると判断し、嫌がらせ電話とPTSDとの因果関係を認めて、被告に懲役2年、執行猶予4年を言渡しました。
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