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保険金の名義人でない受取人
花子さんは、内縁の夫である太郎さんが死亡したので、生命保険会社から保険金を受け取りました。
それは、被保険者を太郎さん、受取人を花子さんとする生命保険契約だったからです。
その後、金融会社から、太郎さんの借金の支払として、保険金を渡すよう言われ、「万一の事故があった場合には、保険金を受け取ってください。」との念書もあり、筆跡も太郎さんのものでしたので、受け取った保険金を金融会社に渡してしまいました。
しかし、調べてみると、受取人は花子さんなので、金融会社は受取人の資格はないことを知り、保険金の返還を請求する不当利得返還請求訴訟を起こしました。
花子さんの言い分は、太郎さんは、受取人である花子さんに、受取人を金融会社に変更したことを告げていないので、金融会社は保険金受取人たる資格がないと主張しました。
花子さんの勝訴となり、金融会社に保険金の返還を命じました。
その理由は、商法の「保険契約者が契約後保険金額を受け取るべき者を指定又は変更したるときは、保険者にその指定又は変更を通知するにあらざれば、これをもって保険者に対抗することを得ず」という規定を根拠として、受取人変更を生命保険会社に通知していないからとしました。
しかし、最高裁は、一審、二審の判決を破棄して、受取人の変更は、新旧受取人のいずれかにその意思表示をすればよいので、保険会社への通知は必要でないとして、金融会社に受取人資格があるとしたのです。
受取人の変更自体は無方式であり、本件のように、必ずしも保険者に対してなされるとは決まっておらず、保険契約者が一方的意思表示で受取人を変更したときは、これを知らない保険会社の二重払いを防ぐために、受取人の変更は保険者に通知しなければ対抗できないとしたものと考えられるのです。
この事例は、名義人以外の者が保険会社へ請求した事案ではなく、保険契約の契約上の名義人が保険会社に請求して、真の受取人に渡したもので、真の受取人が念書を元に保険会社に請求したものではないので判断したとされます。
ですので、金融会社が直接、念書を元に保険会社に請求しても、保険会社は支払を拒否できると考えられるのです。
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