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クレジットの名義貸し

長崎地判平成元年6月30日(立替金請求控訴事件)
判時1325号128頁、判夕711号234頁

<事実の概要>

割賦購入あっせんを業とするX株式会社は、昭和60年5月19日、Yが下着等の販売業者でXの加盟店であるA株式会社から下着一式を金13万円購入するにあたり、Yとの間で、XはYに代わり金13万円をAに立替払し、YはXに対し、立替金及び手数料の合計金15万280円を分割して支払うこととする立替払契約(個品割賦購入あっせんに当る)を締結した。

この立替払契約は、未成年者であるYの職場の先輩であるBが信用調査の結果自分の購入した下着について立替払が拒絶されるので、Yに対して名義を貸すように依頼し、Yがこれを承諾したことにより成立したものであった。

同年6月分から10月分までの5回については、BがYに支払金額分の金員をもってきたので、YにおいてY名義で郵便振込により支払っていたが、同年11月分の支払からは、Bが同年10月末に勤務先の医院を退職したことから支払が滞った。

Xは本訴において、立替払契約に基づく残金の支払を請求した(なお、立替払契約の成立の事情については、下記の判決理由も参照)。

Yは、Aに対して、上記売買契約の通謀虚偽表示による無効を主張しうるから、割賦販売法30条の4に基づいて、その無効事由をもってXに対抗すると主張したのに対し、Xは、購入者が作出した一方的事由に基づく購入者と販売業者間の通謀虚偽表示は、抗弁事由に該当しないなどと反論した。

原審判決はXの請求を認容した。



<判決理由>原判決取消、請求棄却。

1「割賦販売法30条の4第1項は、割賦購入あっせん業者が、あっせん行為を通じて、販売業者と購入者間の売買契約の成立に関し販売業者と密接な経済関係を有するから、購入者に売買契約上の抗弁事由が存する場合には自社割賦と同様にあっせん業者に対しても抗弁が主張できるようにし、契約取引に不慣れな購入者を保護するという趣旨から、販売業者に対して主張し得る抗弁事由をもってあっせん業者に対抗し得ることを規定してものであると解される。

そうすると、購入者が販売業者に対して有する抗弁をもって、割賦購入あっせん業者い対抗することが、抗弁権の接続を認める趣旨に反し、信義則上許されない場合を除き、同条は抗弁事由について特にこれを限定していないから、原則として、購入者が販売業者に対抗できる事由は、同条の抗弁事由となるというべきである。

虚偽表示の場合について、より具体的にいえば、購入者の作出した一方的な又は積極的な関与に基づく事由は、抗弁事由に該当しないが、販売業者が、詐欺的言動によって購入者をして名義貸しをなさしめた場合などは、その名義貸しをなすに至った事情いかんによっては、虚偽表示を割賦購入あっせん業者に対抗することが、抗弁権の接続を認めた立法の趣旨に反し信義則上許されないものではないというべく、虚偽表示であれば一律に抗弁事由足り得ないと解すべきではないと思料される。」

2「(1)C(Aの使用人)は、高校を卒業したばかりで割賦購入あっせん取引に経験のないYにその名義使用の承諾を得るにあたって、Yに対して、支払についてはBが支払うし、支払が遅れたときには、Cが間に入りBに支払わせるようにするからと言って、Yを説得し、Bが支払わなかったときにはYが支払の請求を受けることなどは一切説明していない。

そして、CがYの名義使用の承諾を得てはいるものの、本件立替金契約の申込書は、Yに署名捺印を求めないままAにおいて作成している

(2)また、Aは、BがXから立替払契約の承認を得られなかったのは、Bが事故者(いわゆるブラック)のためであることを知っており、Bが将来支払を滞る可能性が少なくないためにXが立替払に応じなかったことは承知していたのに、納品済みの商品代金回収のために、職場の先輩の要求を断り難いYにその名義使用を承諾させた。

しかも、Xの加盟店であるAでは、立替払の承認が得られない場合には、本件におけると同様、他人名義の使用をすすめ立替払契約を成立させて販売代金の回収を図っている事例がかなりみられる

(3)さらに、Aは、Xに対して、本件立替払契約に関してYにのみ立替払契約に関する確認の連絡をとるよう連絡しており、これに応じて、Xは未成年者が申込人の場合であれば保護者に確認をとるのが通常であるのに、Yの親権者であり本件立替払契約の連帯保証人でもあるYの母親に意思確認の電話をとるように指示されること自体、立替払契約の前提となっている売買契約に問題があることが推知されるのに、Xの従業員は、Aからの連絡に応じた確認方法しかとっていない。

(4)以上によれば、Aはクレジットを利用して商品を販売しているのであるから、誠実に立替払契約の仕組みを悪用して、未成年者でありクレジット利用が初めてでその仕組みを十分理解していないYに詐欺的な言動で名義使用を承諾させ、虚偽の売買契約を仮装したものということができる。

Yは、前記のとおり、名義使用を承諾し、Xからの電話確認に購入した旨答え、また、Y名義で分割金を5回支払しているが、これらは、前述のCの欺網的ともいえる言動によるところが大きく、Bが支払をなすものと信じたことによるもので、要するに、本件においては、Aが虚偽の売買契約を積極的に作出したのであり、Yの関与の程度は詐欺的言動によってY名義の使用を余儀なく承諾し、電話確認に応答したものであり、消極的なものということができ、XがAからの連絡で連帯保証人欄の母親には意図的に連帯保証の意思確認はしないなどの事情に照らせば、Yが、虚偽表示の主張をXに対して主張することが信義則に反するとはいえない。」

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支払延期のためになされた手形書替え
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賭博による債務支払のための小切手の交付
手形割引の法的性質
割引手形と買戻請求権
支払人として記載された者以外の者のなした為替手形の引受け
外国向為替手形の取立て・再買取の拒絶と買取銀行の権利義務
盗難預金小切手の支払
被仕向銀行の行為による損害と仕向銀行の振込依頼人に対する責任
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