まず、婚約があったとされる当時、Yが婚姻適齢に達していなかった点につき、将来婚姻適齢に達した後に婚姻することを目的として婚姻予約がなされたのは明らかとして、Yの上告論旨を退けた上で、結納等の儀式が行なわれていなかった点につき、「婚姻の予約なるものは結納の取交せその他慣習上の儀式を挙げ因て以て男女間に将来婚姻を為さんことを約したる場合に限定せらるべきものに非ずして男女が誠心誠意を以て将来に夫婦たるべき予期の下にこの契約を為し全然この契約なき自由なる男女と一種の身分上の差異を生ずるに至りたるときは尚婚姻の予約ありと為すに妨げなきものとす」とした。 |