認知の訴えの性質
最判昭和29・4・30民集8巻4号861頁
<事実>
A女は昭和22年2月11日からYと肉体関係をもつようになり、月に2〜3回くらいの関係が24年4月頃まで続いていた。
その間、A女は他男と肉体関係はもたなかった。
A女は23年7月頃懐胎し、医師の診断による予定日を20日過ぎて24年4月29日にXを分娩した。
ところが、YはXが自分の子であることを否認し、出産養育について何ら負担しない。
そこで、XはYに対して認知を求める訴えを起こした。
それに対して、1審は、「被告は原告を認知すべし」と判決した。
Yの控訴が棄却されたため、Yは上告し、認知の訴えは確認訴訟であり、Xが給付判決を求めたに対し確認判決はなしえないと主張した。 |
<争点>認知の訴えは、給付訴訟か、確認訴訟か、形成訴訟か。
<判旨>上告棄却
「認知の訴えは、昭和17年の民法改正により、父母の死後も提起できることになり、法文も「父または母に対し認知を求むることを得」とあったのを、離婚や離縁の訴えと同じように「認知の訴えを提起することを得」と改められ(旧民法835条)、それと同趣旨が現行法に引き継がれものと解すべきであり(民法787条)、またこの訴えにつき言渡された判決は、第三者に対しても効力を有するのであり(人訴32条、18条)、そして認知は嫡出でない子とその父母との間の法律関係を創設するものであること等を考えると、認知の訴は、現行法上これを形成の訴であると解するを相当とする」。
「第1審判決の主文は、「被告は原告を認知すべし」と判示して、あたかも被告(上告人)に対し認知の意思表示を命じたかのような文言を用いてある」が、その趣旨は、「要するに原告(被上告人)の被告に対する認知請求権の存在することを認め、これによって両者間に法律上の親子関係を発生せしめることを宣言したものに外ならない」。
「結局用語が妥当でなかったにすぎない」。 |
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